がんばれ!!しんちゃん
子育てから、音楽・ビデオ鑑賞などの趣味、学問や能力開発等生活全般に関する話題を断片的に書き綴る。
未来予測
未来予測と言えば、これまでは、過去のデータのトレンドから統計的に未来を外挿する方法がとられていたが、最近、事情が少し変わったようだ。
予測したい事象の発展を支配する法則が分かっている場合、その事象の現在のデータを初期条件として与えるだけで、未来を予測する。

2002年、日本の「地球シミュレータ」はニューヨークタイムズで、「コンピュートニック」と表現された。
人間の生き方・考え方やパラダイムまでも大きく変える可能性を持っていると評価されたのだろう。

あらゆる物が相互に影響し合っている自然を要素還元物理学とは全く違った方法で捉え直す事は、パラダイムの変革であるのだろう。

「複雑性の科学」というアプローチもあるが、実験法・解析方法を見出すのが困難である。

現実の物事は線形的に振舞うことも、平衡であることも稀である。
シミュレーションでは、非線形・非平衡の世界を扱える。

ベクトル型(シーモア・クレイが考えた方法で、メモリ部と演算部を結ぶパイプライン装置を使う)のスーパーコンピュータは高価なため、スカラ型(演算ごとのデータをメモリからプロセッサに運ぶ方式)コンピュータ複数を並列に繋ぎ、処理能力を上げる方式(パラレルコンピュータ)が登場したが、通信速度がネックになった。

約400億円、(旧)宇宙開発事業団、(旧)日本原子力研究所、(旧)海洋科学技術センターで「地球シミュレータ開発」を行った。
NTTが受注し、地球シミュレータ開発センターが設置された。
ベクトル型プロセッサ(8ギガ・フロップス)×8=64ギガ・フロップスと16ギガ・バイトの共有メモリを1まとめにしたものを1プロセッサ・ノードとする。

*フロップス(FLOPS)=1秒間に浮動小数点数演算が何回できるかという能力。


640個を配列し、理論最大演算性能は64ギガ・フロップス×640個=40.96テラ・フロップス。
ところが、米国が大騒ぎしたのは、この性能ではないと言う。
地球シミュレータがホリスティック(全的)であり、システムを丸ごとシミュレートできる可能性を持っていたからだ。

部分的にではなく、複雑に絡み合った要素間の相互作用を、高精度でシミュレートできる事が、要素還元的なパラダイムを覆す可能性を秘めていることが評価されたのだ。
地球の温暖化や環境汚染、地震・異常気象の予測・自動車の衝突安全性の設計・ナノ材料の開発等などをシミュレーションすることが可能。

一つの成果としては、2100年までの予測を行い、温暖化の強く出やすい地域とそれ以外の地域の分布を明らかにした。

人為的に温暖化ガス排出を与えた場合と与えない場合の比較をし、人為的に排出が温暖化の原因であるとした。

経済・社会問題のシミュレーションは、人間を基本構成要素とすれば、約60億人の相互作用を解くシミュレーションと考えられる。
しかし、経済や社会に大きな影響を与えるのは、政治家・経営トップ等の行動に基因することが多いため単純化することができる場合もある。
また、集団として超粒子的に扱うことで、モデル粒子数は極端に減らすことができる。
問題は、初期条件の獲得や条件付けが難しいことだ。
中でも個人情報が大きく作用することがあるようだ。

現在、地球シミュレータの性能は、世界一ではなくなった(米IBMの「BlueGene/L」が36.01TFLOPSを出した)が、文部科学省の主導で2010年までに、10(ペタフロップス)PFLOPS(=1京FLOPS)の「汎用京速計算機」を開発するプロジェクトが進行している。
「地球シミュレータ」の約250倍の演算性能だ。
国家戦略的意味も含め、米国に高性能のコンピュータを依存しないという方向は正しいと思う。
税金の無駄遣いだという声も聞こえるが、成果や利権が一部に偏るのは大きな問題だが、将来を考えること(未来志向)は、現在の生活を守ることと同時進行させるべきだろう。

ただ、悪夢の未来(フィリップ・K・ディックの描く「マイノリティ・リポート」のような近未来)が待っている可能性もないわけではない。

コンピュータの使い方の問題ではあるが...。



参考文献

「未来を予測する技術」佐藤哲也著(ソフトバンク新書)

「マイノリティ・リポート」フィリップ・K・ディック (ハヤカワ文庫SF)

参考WEBサイト

アメリカを驚かす日本の世界最速コンピュータ
http://www.icot.or.jp/FTS/REPORTS/H13-reports/earth_simulator.html

地球シミュレータセンター : The Earth Simulator Center
http://www.es.jamstec.go.jp/index.html

ITmediaニュース:「汎用京速計算機」は人体シミュレーションを目指す
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0509/28/news107.html

温暖化を救うか?スーパーコンピュータ|環境問題 エコビジネス:WEBマガジン「カーソル」
http://www.kersol.net/contents/500165/50016501

マイノリティ・リポート
http://www.foxjapan.com/movies/minority/
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