平田篤胤大人の著書の数は約百部千巻とも言われているが、学問の間口が広く、根柢が深すぎて未だに、正当な評価を得ておらず、ほんの一部の著書の特徴のみが強調されて論ぜられている。
愚かなことだ。
平田篤胤大人の著書の中にも神代文字に言及したものがある。
古代日本語(≒やまとことば)の原型は沖縄方言に多く残っているという話を聞いたことがある。
神代文字とは違うかもしれないが、与那国では古くからカイダ文字が使われていた。
また、沖縄のトキ(神事の日や時刻を定める民間の職能者)が吉凶禍福を占い、日選りをし、オタカベを述べる際に用いた「トキ双紙」には象形文字的な記号が書かれている。
また、サンニヌ台の崖には文字と考えられる刻印について、ジェームス・ホータック氏(アメリカの言語学者)は、「フェニキア文字」ではないかと指摘した。
*巨石に刻まれている文字らしいものを何でもかんでもペトログリフ(ペトログラフ)と
判定してしまう人たちがいることは科学的な調査を妨げる一因となっている。
斎部広成が日本独自の文化を護ろうとして、古代文字の存在を否定するような文(古語拾遺)を書いたために、それ以後、学者たちは混乱した。
子孫忌部正通は逆に、神代文字はあったと言っている。
「神代の文字は象形なり。応神天皇の御宇異域の経典初めて渡来せし以降、
推古天皇の御宇漢字を以て和字に付け給う」(神代巻口訣)。
推古天皇の頃、神道擁護派の物部氏は滅ぼされている。
「古語拾遺」が反神道的な立場で書かれた偽書であるかもしれないし、斎部広成が政治的にどういう立場にあったのかを考慮しなければ、言葉に振り回されることになるだろう。
明治政府の政策がらみの廃物希釈は、仏教が神道によって弾圧されたようなイメージがあるが、実際に廃社にあったり、神社由来書や御神体が取り上げたりして被害が大きかったのは古神道であった。
仏教は権力に阿る形で比較的うまく生き延びたようだ。
各地の神社と神道は国家神道の下に強引に統合されていった。
古くから皇室の神道儀礼を扱ってきた伯(白川)家や陰陽道を伝えていた土御門家も皇室から切り離された(元々天皇と神道は別物であったようだが...)。
明治政府は、欧米から資本主義を輸入するにあたり、資本主義を研究し、キリスト教が資本主義にとって必要不可欠であることを見抜き、日本の神道をキリスト教に似せて再構築した(国家神道の誕生)、そこから導き出される行動様式(働くことは神に祝福され、結果としての富)は資本主義の精神であり、日本人のもつ勤勉さとマッチした。
ところで、殷代後期(紀元前17〜11世紀)の甲骨文字は多くの場合、宗教儀礼に使われていたらしく、占いの結果を亀の甲羅や牛の骨に書き込んでいた。
日本の氏族や神社に伝えられた文字も謎が多い。
その多くは、江戸時代以降の創作だとしても、書き写されて伝えられたものも存在するだろう。
これらの文字も用途は甲骨文字と共通するものではなかったのか?
伊勢神宮(神宮文庫)に現存する奉納文は、藤原鎌足、稗田阿礼、和気清麻呂、菅原道真などによって神代文字(?)で書かれているが、偏見なく研究されているのだろうか?
銅鐸に書かれた文字(擬銘帯)についても、中国鏡の銘文をお手本に似せて書いた模様という説がある一方、神代文字に類似しているとする研究もある。
「日本書紀」(欽明天皇ニ年の注)には、その基礎資料となった「帝王本紀(すめらみことのもとつふみ)」では「古字(ふるきみな」が用いられていたが、世代交代で読みや意味も分からなくなってきたとの記述がある。
また、「古事記」(序)には、「諸家に伝わっている帝紀および本辞には、真実と違い、あるいは虚偽を加えたものがはなはだ多いとのことである。」との記述があり、古事記以前に複数の書が存在していたことが明記されている。
ただし、常識的に考えると、「古事記」や「日本書紀」が時の権力者による政治的な編纂物であり、偽書である可能性が高く、諸家に伝わったいる書の方が真実に近いのかもしれない。
いずれにしても、過去の権威による言説に囚われすぎると、大きな取りこぼしが発生するおそれがある。
天皇は、女性の霊力に支えられていた(この点に関して言えば、沖縄の霊的伝統と根底で繋がっていたといえる)ようだ。
猿女(さるめ)という、天皇の霊的活力の回復と強化を目的とする鎮魂祭で神楽の奉仕をする女性宗教者おり、祖神はアメノウズメであり、稗田氏の女性がその任についていた記録があると言う(「西宮記裏書」)。
平田篤胤大人は、稗田阿礼女性説を唱えた。
「古事記」が言霊の書であるという説がある。
稗田阿礼を依代(よりしろ)、太安万侶が審神者(さにわ)として、古事記を編纂したのだろうか?
古代史の真相を探るには、このアプローチ方法も必要であるかもしれない。
参考文献
「図説 神代文字学入門」原田実著(ビイング・ネット・プレス)
『「竹内文書」の謎を解く』布施泰和著(成甲書房)
「古史徴開題記」平田篤胤著(岩波文庫)
「甲骨文字の読み方」落合淳思 著 (講談社現代新書)
「日本書紀(下)」(講談社学術文庫)
「古事記(上)」(講談社学術文庫)
参考WEBサイト
最終章鎮魂祭の秘密
http://homepage1.nifty.com/fumio-y/honoo0086.htm
緋文字 - monologue
http://blog.goo.ne.jp/fumioyamashita/e/f6f96d76c49aa767edc494af834e4c5a
琉球固有の文字と世界の未読文字
http://www.wonder-okinawa.jp/024/japanese/moji/index.html
神代文字−日本的霊性
http://f35.aaa.livedoor.jp/~shinri/kamiyomoji.html
やまとこころ: 神代文字・プロトハングルの話
http://blogs.dion.ne.jp/amabegoro/archives/321651.html
東京大学総合研究博物館 デジタルミュージアム
http://www.um.u-tokyo.ac.jp/DM_CD/DM_CONT/KOKOTSU/HOME.HTM
森の余白: 稗田阿礼は男か女か
http://blogs.dion.ne.jp/yohaku/archives/2150725.html
霊界物語の真髄 〜出口王仁三郎の真実〜
http://www.geocities.jp/susano567miroku/index.html

