不動産所得
(1)範囲
不動産の貸借のみならず、地上権等の借地権(不動産上の権利)の設定による収入や、航空機の貸付なども該当する。
あくまでも、貸付による所得であり、不動産仲介による収入は、事業所得となる。
| アパート、下宿など | 食事を提供する場合は事業所得か雑所得となる | |
|---|---|---|
| 有料駐車場 | 時間極駐車場は事業所得か雑所得となる | |
| 借地権のお設定対価として 受け取る権利金 | 土地価格の1/2超は譲渡所得となる |
(2)計算
| 総収入金額 | − | 必要経費 | = | 不動産所得 |
|---|---|---|---|---|
| ・家賃収入や地代収入 ・青空駐車場からの駐車場収入 ・礼金、更新料 敷金や保険料のうち 賃借人に返還しないものなど | ・借入金の利子 ・減価償却費 ・損害保険料・修繕費 ・固定資産税、不動産取得税 ・専従者給与など | |||
■収入金額・必要経費の判定
☆借入金返済は現金支出を伴い、元本返済部分は必要経費に含めない。
☆減価償却費は現金支出は伴わず、必要経費に含まれる。
(3)課税関係
総合課税され、総所得金額に算入される。
事業所得
(1)範囲
個人の行う不動産経営以外のビジネスで以下のもの
1.営業に関するもの → 製造業・卸小売業・サービス業・飲食業など
2.農水産業に関するもの → 農業・漁業など
3.その他 → 医師・弁護士・作家・FPなどの自由業など
営利を目的とし、継続的に行われるビジネスによって生じる所得が該当する。
☆事業用運転資金として利用している預金に係わる利子は、利子所得となる。
☆棚卸資産以外の固定資産の譲渡による所得は、譲渡所得となる。
(2)計算
総収入−必要経費=事業所得
●必要経費
1.売上原価(仕入代金などのうち、その年の売上げに対応するもの)
2.販売費・管理費(減価償却費、接待交際費、専従者給与など)
(3)課税関係
総合課税され、総所得金額に算入される。
不動産所得・事業所得のポイント
(1)減価償却費
資産が利用できるであろう年数に渡って徐々に経費に算入していく手続きのこと。
原則として所得税においては定額法により計算する。
ただし、届出により定率法を選択できるが、平成10年4月以降に取得した建物については定額法が強制されている。
・定額法:毎年同じ金額を費用化する方法(償却費は毎期一定額)
取得価額×9/10×定額法償却率=1年分の償却費
・定率法:毎年同じ比率で費用化する方法(償却費は当初の額が最大で、次第に逓減)
年初末償却残高×定率法償却率=1年分の償却費
所得税では強制償却と言い、赤字でも必ず減価償却費を計上することが義務付けられており、取得金額が少額な償却資産の場合、以下の取扱いが認められている。
| 取得価額 | 取扱い |
|---|---|
| 10万円未満(少額減価償却資産) | 一時に必要経費に算入できる |
| 10万円以上20万円未満(一括償却資産) | 3年間での均等償却を選択できる |
| 10万円以上 | 通常の減価償却(資産の耐用年数に応じて償却) |
| 30万円未満(時限措置) | 平成20年3月31日までの間に青色申告者が取得した減価償却資産は、全額必要経費算入を選択できる。 ただし年間300万円までを限度とする。 |
(2)青色申告特別控除
帳簿管理をきちんと行っている個人に対しての税務上特典のひとつで、青色申告者は記帳方法などに応じて一定の金額を所得金額から差引くことができる。
尚、不動産所得については、65万円の控除は事業的規模の場合に限る。
| 添付書類 | 記帳方法 | 控除額 | ||
|---|---|---|---|---|
| 事業所得 | 貸借対照表 損益計算書 | 正規の簿記 | 65万円 | |
| 不動産所得 | 事業的規模 | 貸借対照表 損益計算書 | 正規の簿記 損益計算書 | 65万円 |
| 事業的規模以外 | 損益計算書のみ | 10万円 | ||
*平成17年分以降の所得税より55万円の控除は65万円に引き上げられ、簡易記帳方法(45万円控除)は廃止された。
■不動産所得が事業的規模であるか否かの判定方法
家屋の貸付なら、おおむね5棟以上、アパート・マンションなら室数が、おおむね10室以上であることが形式的な判断基準となっている。
事業的規模の貸付であっても、所得区分は事業所得でなく、不動産所得になる。
(3)青色事業専従者給与
生計を一にしている配偶者・親族に支払う給料を専従者給与と言い、青色申告の場合、金額が適正であれば全額を必要経費に算入することが認められている。
一方、白色申告者の場合は、事業専従者控除と言って実際の支給額にかかわらず、一定額までしか経費に算入できない。
なお、不動産所得の場合は、事業的規模の場合に限られる。
青色申告(青色事業専従者給与:実際の支払額)
白色申告(事業者専従者控除:配偶者86万円、その他50万円)

